団塊世代が75歳を超える2025年まであと7年。

2011年に設立した暮らしデザイン研究所にとってのこれからの7年は、整理収納という活動の対象を、目に見える「モノ」から目に見えない「コト」へと比重を高めてゆく期間だと考えています。

 

私が貨幣価値から経験価値への転換の必要性を伝え始めてからすでに4年。

それは、私自身の仕事である「整理収納」と「生きづらさを抱える人たちへの支援」を通して出した、一つの答えでした。

 

家庭に必要以上にあふれかえるモノ。

使わないモノを購入し続けているという現実に気がつかないまま、現状よりも少しでも良い所得を目指してきた人の心理。

こうした人の行動は、社会という大きな観点から見たとき、*エコロジカル・フットプリントの限界を超えるという結果に繋がってもきました。

ここでは、そうした背景を当研究所の事業に照らし合わせて改めて振り返り、未来への方向性を探ります。

*自然資源の消費を数値化したもの。2017年データで日本は本来ある資源の2.9倍の消費量。2017年8月2日には地球規模で資源の再生産量とCO2吸収量を超えている。(グローバル・フットプリント・ネットワーク)

 

以下の図「価値観とコミュニティのシフトグラム」では、戦後から近未来までを、当研究所の事業の対象年齢と重ねて表示しています。

 

 

高齢者と片づけ

団塊世代

モノのない時代に育った最後の世代にあたる1950年代生まれの人たちは、現在60代。

前期高齢者に当たる世代です。

 

1960年には池田内閣による所得倍増計画が閣議決定され、その後の日本は高度経済成長により物質的な豊かさを得るようになりました。

豊かさが拡大する裏で、高度経済成長を挟んだ20年間のゴミの増加量は約5倍に膨れ上がりました。

大量生産大量消費による複数の公害やゴミ問題を経て、1990年代に入ると、循環型社会を目指したReduce(発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)の「3R」を掲げて生産から消費の各過程への制度化が行われます。

この「3R」の優先順位は、ここに書いた順番のとおり、本来は「Reduce」が最も優先される課題ですが、物事の浸透は何事も容易なところから進むもので、最初に浸透したのがゴミの分別として定着した「Recycle」、そして一部の人が生活に取り入れた「Reuse」です。

歴史を紐解けば、江戸期の循環型社会から文明開化による西洋化を経て、今再び循環型社会を目指す段階にあるわけですが、おそらくモノに求める要素として大きく変わってきていることとして、情緒や心情などの「感性」を色濃く反映させた存在としてのモノから、より便利さを追求した「機能」が重視されたモノへと変化してきた点です。

現在の60代の人たちは、こうした大きな時代のうねりの中で、モノのない時代から現代のスマートホンなどのITツールも使うような多くの経験をしてきた世代と言えます。

 

こうした世代に残された課題が、3Rのなかの「Reduce」です。

このReduceは、イコール「モノの整理」。

整理というと一般的には捨てることと捉えられていますが、実際は整理を通して自分の中に持つ基準を作ることで、結果として発生抑制の消費行動に繋がる行為です。

整理の段階では、一つ一つのモノに対して自分のなかの基準に照らして取捨選択を続けるため、脳の認知機能をフル活用することになり、対象が多ければ多いほど、脳だけでなく体力的にも疲れてしまう作業です。

そのため、私たちのようなプロの事業者のアドバイスを受けながら進めることで、モノに対する大きな意識変化を経験し、それが人生の転機に繋がった依頼者の方も数多く存在します。

 

しかし残念ながら、この世代の中で「モノの整理という行為のみ」に対して対価を払うという方は少数派なのが現実です。

このため事業者が関わる機会としては、「住宅改修」か「モノの廃棄」または、ご本人がなくなった後の「遺品整理」の段階となるため、整理収納部門を用意した建築業、産廃業者または、遺品整理に特化した事業者が中心となっています。

一方、高齢者という呼称が続きながらも、実際には体力的にも若返る中で、一昨年度からは社会の人材不足を補うため、そして介護予防の側面もあり、社会の労働力として働き続けることを期待されるようになっています。

この点は高齢者自身も働く意欲が高く、また働いている高齢者は生活への満足度も高いという統計があります。

このような事情を背景に、当研究所もまた、事業を始めた当初の高齢者への「支援」一辺倒の位置づけから、これから働く前期高齢者に整理収納を学んでもらい、後期高齢者への支援に活かしてもらうという「仕事」を想定したアプローチへと幅を広げるようになりました。

平均寿命も健康寿命も引き続きの延伸が望まれるなか、研究所からのアプローチも時代の変化を捉えて関わることを求められています。

 

 

住まいの整理収納は、2025年が一つの区切り(2)「社会人と片づけ」 >>>

 

 

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